T34/85極初期型製作記

building T34/85 initial type
(model built by moppu, modelling planned by mitsu)

T34/85には44年からの量産タイプの前に極初期型と呼ばれる特徴的な砲塔前面の顔をもったタイプが存在していました。

見慣れたT34/85は量産タイプで一般的には44年以降の生産タイプ、極初期型は一見した相違点に砲塔前面の防盾の形状があります、43年型とも呼称されるようです。
これは搭載する砲に起因するものでした。
量産タイプが搭載したのはzis-s-53という85mm砲でしたが、極初期型はその量産が間に合わず、D-5Tというタイプの85mm砲を拡大した砲塔に搭載したものです(44年初頭から生産され、44年春以降はzis-s-53砲搭載のタイプと混在していたようです)。

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T34/85極初期型はマケットからキットが発売されていますが、レジン製の砲塔、金属砲身など意欲的な内容ではあるもののせっかくの意図が活かし切れておらず、そのままでは満足に組み立てるのも困難という他ない状態でした。

そこで、マケットのキットも活かしつつ、この特徴的な車両を再現しようと、ドラゴン製T34/85、マケットの極初期型キット、にレジン製の砲塔、アルミの砲身などを採用しました。

製作は2007年
あまり例のない車両であろうと思われますので、ちょっと長いですが、マケットの車体をベースに、レジン製の砲塔を載せた車両の製作次第を中心にご紹介してみます。
後にこのような形で公開することを考えていませんでしたので、詳細な工程の写真が残っていませんが、お楽しみ頂ければ幸いです。

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製作前のチェック

資料はT34/85極初期型に特化した資料(書名は失念してしまいました)から図面をコピーしてパーツと比較する形で行いました。
極初期型に分類されるT34/85は実はそのうちでも数種類のタイプがあり、比較検討の結果、工作の複雑さをなるべく避けうる方向で極初期型のうちでも初期のタイプとより後期のタイプ、2台を製作することにしました。

極初期型は112工場(クラスナエ・ソルモヴォオ工場)が生産を担当し、同工場製の/76車体に85mm砲を搭載するため拡大した砲塔を搭載しています。
したがって、車体は同工場製の/76の特徴を有し、より大きな砲塔を搭載するために改造が加えられています。
当時(2007年)は112工場製の/76車体はキットが存在しませんでしたのでその部分にも少なからず苦労をしました(結果的に砲塔に隠れる機関部の形状など修整を諦めた個所もありました)が、現在(2010年)ではドラゴン(サイバー)、AFVクラブから112工場製T34/76がキット化されていますので、もう3年待てばもっと楽に製作できたのに…笑、というのはもちろん冗談ですが。

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図面をチェックし、手を入れなければいけない箇所を検討します。
当初から先の2台を再現することを念頭に置いていたわけではありませんで、実はこうした検討作業の結果、マケット車体はモールド、パーツの再現度、パーツの合いなどに大きな問題を抱えているものの112工場製車体をよく再現していることが分かりましたし、ドラゴンの/85車体は112工場製の特徴(機関部ハッチのヒンジの形状など)を持たせることである一時期(44年4月頃)に生産されていたタイプを再現できることが判明しました。
112工場製/76車体を検討する際に問題となる前面装甲板の組み継ぎは図面を信用する前提でいえば、1・2月生産の初期仕様には組み継ぎがあり(マケット車体と一致)、4月生産の後期仕様には組み継ぎがありません(ドラゴン車体に一致)。

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同時に砲塔も検討します。
マケットの砲塔は残念ながらモールドが欠け、パーツとしての強度さえ失われているひどい状態でした(キットの個体差はあるかも、現在はもっとましなものになっているといいですが…)ので、ドラゴン/85の砲塔、カスタムディオラミクス、アヌビス、それぞれのレジン製砲塔を比較してみます。

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上写真がそれで、図面と比較検討中です。
レジン製の砲塔はD-5T搭載の特徴的な防盾部を再現したものですが、それぞれにハッチ、ベンチレーター、ペリスコープ、アンテナ基部など砲塔上面を構成する各要素の位置関係が異なっています。
おそらくモデルにした実車がそれぞれに異なっていたため、と考えられます。
つまり極初期型D-5T搭載砲塔、と一口にいっても少なくとも生産時期によって3つ程度のタイプの違いがあり、どの車両をモデルにしたか、によって違っている、というわけです。
比較検討の結果、工作に手間のかからないことを第一の基準に、カスタムディオラミクス製砲塔は44年1・2月の初期生産タイプに用い、アヌビス製砲塔は44年4月頃の生産タイプに使用することにしました。

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おおよその見当がついたところで主なパーツを仮合わせしてみます。
左がマケット車体+カスタムディオラミクス砲塔、右がドラゴン車体+アヌビス砲塔。
それぞれ極初期型初期仕様、後期仕様、と仮に名付けます。

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極初期型初期仕様~マケットベース

マケットのキットのパーツは細かなものはほとんど使えません。
細部のパーツはドラゴンのSU-85Mのキットをひとつ潰して、コンバートしますが、転輪まわりはマケットのキットから採用しています。

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全体を組んで行ってみます。
機関部の上面の各カバーはいずれもすり合わせでなんとかなる状態ではありません(下左写真)で、これも後にSU-85Mのキットを切断し、移植するという大手術となりました。
装甲板の組み継ぎはモールドを彫り直し、機関部の後面ハッチはボルトを一旦切除し、修正後植え直しました。

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砲塔はハッチやキューポラの位置を修正し、ハッチの蓋などはSU-85Mのパーツを移植します。
車体の装甲板の修正を行いながら、フェンダー(これは縁が丸くなっている/76と同様の形のものが正しく、マケットのパーツを使いました)、車体前縁の意匠の修正、SU-85Mから操縦手用ハッチ、そのヒンジなどや機関部を移植していきました。

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SU-85のキットから移植した機関部上面。

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パーツを採るために切断されたSU-85Mの車体…笑

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ひととおりの工作を終えました。
エッチングパーツはグムカ、エデュアルドなどを使用し、燃料タンクの留めバンドなど細部をディテールアップします。
砲塔はグレイの成形色のものがドラゴンのパーツ。
初期仕様の砲塔の特徴であるU字の大きなフックはマケットのキットに付属のパーツです。
履帯はこれもSU-85のものを借用し、ロコ組にしておきます。

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112工場製車体のさらなる特徴は各所に取り付けられた取っ手、一部は真鍮線で、一部はプラパーツで取り付けました。
概ね工作を終えた状態。
初期仕様では無線のアンテナは/76と同様に車体右前方側面にあります。
また、フェンダーは少し短かったので長さを修正しました。

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極初期型後期仕様~ドラゴンベース

ドラゴンの車体をベースにした製作工程の写真は実は当時使用していたパソコンのトラブルでほとんど失われてしまっています。
主な工作個所は砲塔に集中しています、ベースキットからハッチなどのパーツを採用し、細部を図面に合わせました。
車体側は機関部後面ハッチのヒンジ(見慣れているウラル工場製車体等と比べるとヒンジが大きく、2か所になっている)、ボルトの位置の修正などを行いました。

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初期仕様、後期仕様では燃料タンクの搭載個所が異なっています。

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2つの極初期型T34/85を並べてみます。
後期仕様では砲塔前面の意匠を除けば、全体の雰囲気が後の量産型に似てきています。
(したがって、修正個所も少なくて済んでいるわけですネ)
極初期型の砲塔に特徴的なつりさげフックの形状も44年以降の量産タイプに準じています。
後期仕様では無線機のアンテナは砲塔上面に移動していますが、車体側面にあった基部は残され、蓋をされています。

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後期仕様のキットのベースはドラゴンの6244番のT34/85のキット。
これにアヌビス製レジン砲塔、アーマースケールの砲身という組み合わせです。
履帯は結果的にいずれもマジックトラックとなっていますが、実車の履いていたであろう履帯とタイプが一致しているかどうかは未確認です。

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それぞれを並べてみましょう。
パーツごとの差異などもありますが、/76と比較してボリュームのある砲塔が見所ですネ。
(下の3枚の写真はサイズがちょっと大きいです)

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塗装

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基本塗装はハンブロールライトオリーブを吹きました。
色の検討のためにタミヤのT34を組んで、ざっと按配を見ています。
写真の/76にツヤがあるのはハンブロールを吹いた後でクリアを吹いた影響です。
このときT34/76にはハンブロール以外の塗料で緑を吹き、加減を試しているはずですが、その詳細は記憶がありませんで…

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本番、陰吹きを行い、ライトオリーブを吹きました。
当時はまだ基本色に明度差を付けた塗装ではなくて、今からみるとあっさり目です。
写真はピンボケになってしまっていますので、雰囲気だけお伝えできれば、と思いますが…

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完成

油彩でウォッシュ、パステル、ピグメントでウェザリングを行い、フィニッシュです。
マーキングはフィクションです。
タグワイアはカラヤ製を使用しています。
今からみると仕上げなどはあっさりとしています。
わずか3年程度のことですが、塗装の行い方も変化していて我ながら面白いです。
完成画像をご覧ください。

T34/85 極初期型(44年4月頃生産タイプ)

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T34/85 極初期型(44年1・2月生産タイプ)

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